沿革
二見書房は、昭和16年に千代田区に創業されました。
すでに企業として軌道に乗っていた堀内印刷所に出版業を併設し、印刷と出版の二つを見るという意味を込めて、「二見書房」と命名されました。ロダンの『フランスの聖堂』、森銑三の『学芸史上の人々』、モーパッサンの『女の一生』などの刊行を始めます。
しかし、第二次世界大戦は日ましに深刻な様相を呈し、3月の空襲により全てが灰燼と帰し、その後、二見書房は沈黙を強いられていました。
新しい二見書房が出発したのは、昭和35年の1月でした。世はベビーブームに沸いておりそんな世相にあわせて出版したのが、吉岡専造の写真集『人間零歳』です。予想以上の反響で、続くノン・フィクション・シリーズ、NHK特別報道班の『アフリカ大陸を行く』、『中近東を行く』、『中南米を行く』など、いずれも当時のベストセラーとして話題を呼びました。その後、南海の島で発見された元日本兵の手記『グアム島』(昭和35年)は、英、仏、独、オランダなど海外6ヵ国で『天皇の最後の兵隊』として出版されました。
初めて手がけた小説『女のいくさ』(昭和38年)は、直木賞を受賞し3ヵ月間、全国ベストセラー第1位を続けました。<山の遭難シリーズ>の『この山に願いをこめて』群馬県警察本部編につづき『この山なみのこえ』信濃毎日新聞社編が注目を集め、昭和44年には、『素顔の日本』『エマニエル夫人』を出版し、ともに異色な出版物として世評を沸かせベストセラーとなりました。この年『ジョルジュ・バタイユ著作集』の発刊を開始。
日本中を驚かせた『白い本』は昭和47年に登場。発売と同時に売り切れ店続出し各書店でベストセラーを独占。また、世界中の話題となった『チビっ子猛語録』の翻訳も発売され、中・高校生の間で人気沸騰、年度後半のベストセラーになります。
昭和49年には、新書版分野へ進出し、新企画として『刑事コロンボ』シリーズ/全36巻・別冊2巻や『コックリさんの秘密』など、次々ヒットが生み出されました。
児童向けの新しいミニ判が人気となり、なかでも、ニッポン放送の番組から採録した『なぞなぞの本』(昭和50年)は、ベストセラーとなりました。
昭和51年、テレビの人気番組『まんが日本昔ばなし』を出版。全30巻累計800万部をこえるミリオンセラーとなります。平成17年10月からテレビ放映されリニューアル発売を開始しました。
近未来小説のさきがけとなった『第三次世界大戦』(昭和53年)を出版。ヨーロッパ・日本でベストセラーとなりました。昭和55年には、新社屋が完成し三崎町から、文京区音羽に移転。ゲイ・タリーズの『汝の隣人の妻』上下2冊(昭和55年)をアメリカと同時出版すると、世界的に話題となります。さらに、『ペントハウスペット690』は高額な定価にかかわらず初版6万部を1ヵ月で完売しました。人類の火星移住計画を暴いた『第三の選択の謎』(昭和57年)は、3ヵ月で40万部を売り、上半期でのベストセラーとなります。
日本TVアナウンサー小林完吾の『愛、見つけた』(昭和58年)は、全国の人々に感動を与え続けました。昭和59年には、手芸テキスト『ソープバスケット』を50万部売り、この年のベストセラーとなります。
ファミコン・ブームにのり『裏ワザ大全集』シリーズの『スーパーマリオブラザーズ』は100万部を突破。裏ワザブームをつくります。この年から、オトナの文庫『マドンナメイト』の毎月定期刊行を開始。
昭和61年には、アーヴィング・ウォーレスの『第七の機密』、ローレンス・ブロックの『聖なる酒場の挽歌』など、海外ミステリ専門文庫「ザ・ミステリ・コレクション」がスタートしました。その後グレン・ミードの『雪の狼』(平成9年)は、日本冒険小説協会大賞<外国部門>を受賞しベストセラーとなりました。アイリス・ジョハンセンの『スワンの怒り』(平成9年)をはじめ、リンダ・ハワードの『二度殺せるなら』(平成11年)など、ロマンス&サスペンスの傑作がベストセラーを続ける。また、映画『プラトーン』の原作、デイル・A・ダイの同名の小説(昭和62年)が30万部突破のベストセラーとなります。その後も、ノストラダムス物のキワメ付け『ノストラダムス全予言』、豆本『10回10回クイズ』(ともに昭和63年)など、ベストセラーとなります。
帯津良一の『ガンを治す大事典』(平成9年)など、ガン治療関連図書をはじめ、南山宏の『オーパーツの謎』(平成5年)、爆笑問題の『天下御免の向こう見ず』、『ヒレハレ草』、『三三七拍子』(平成9年~)、福知怜の『タイタニック号99の謎』(平成10年)、三浦佑之の『童話ってホントは残酷』(平成11年)など、次々とベストセラー、ロングセラーを出版します。
平成15年に文京区音羽から千代田区神田神保町に移り、韓流ブームのきっかけとなった『冬のソナタをもっと楽しむ本』(平成15年)、ジャンボ旅客機の機体に秘められた驚きの秘密を公開した『ジャンボ旅客機99の謎』(平成16年)、また「二見時代小説文庫」(平成18年)の定期刊行を開始し、ともにベストセラー、ロングセラーとなります。
平成20年、本社を二見書房発祥の地、千代田区神田三崎町に移転。同年発行された『読めそうで読めない間違いやすい漢字』が未曾有の大ブームとなり、シリーズ累計170万部を超え、翌年オリコンで年間販売数1位を獲得。
平成26年に「ハニー文庫」、平成27年には「二見レインボー文庫」を創刊。
『事故物件怪談 恐い間取り』(平成30年)が話題となり、第2弾発売と同時に映画化され、ともに大ヒットを記録。また、世相を反映して『自分でできる遺言書』『もしものときのエンディングノート』『高齢ドライバー脳活ドリル』などの実用書がロングセラーとなります。
「二見サラ文庫」(平成30年)、「二見ホラー×ミステリ文庫」(令和3年)などを創刊し、さまざまなジャンルでの定期刊行を行っています。